航宙機動部隊21

まっかつ  2006-12-01投稿
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『正直私も、充分には測りかねるのです。五0000隻の機動集団でこちらを圧倒していながら、更にその上、その大軍を以てしても攻め落とせない金城湯池を、築こうとしているのですから。ただ、これだけは言えます。こんな物を造られたら、たまった物じゃありません』 スコットも、思わず本意を言ってしまった。 統合宇宙軍や銀河最外縁《タルタロス》の思考でいけば、それだけの兵力をわざわざ引っ張ってきて、何で今更そんな針鼠みたいな真似をするんだ。さっさと攻めて来れば良いじゃないか、と言う結論になる。 間髪置かず、艦隊決戦を挑まれるのも、多勢に無勢、正直帝国側に取って、充分酷なシナリオではあるのだが、構造が分かりやすい分、多少は救いの余地がある。 それに対して、常識外と言うより、全くそれを無視した―少なくとも、エタンや大本営からすれば―、やり方は、純軍事的勝利を狙うに留まらない、思惑やら目論見やらが、水面下の伏線として、盛り沢山にねりこまれてそうで、反って、比較にならない程、不気味に感じれるのだ。 『この要塞線が脅威となるまでに、どの位の時間がかかると思いますか?』 『最短で、三週間。パレオス政府と星民の全面協力次第ですが』 スクリ―ンからの照光を浴びて座りながら、皇帝は腕を組んで頷いた。 確かに、わざわざ救援に駆け付けた助っ人を見捨てる程、パレオス人士は、愚か者でも人でなしでもないだろう。 スコットは、ここで改めて直立の姿勢を正して、軍人らしく胸を突きだした。 『以上、我が大本営・幕僚部は、目下一五日以内の短期決戦の方向で、情勢分析・作戦立案に総力を挙げており、現時刻より六0時間で、要綱原案を完成、陛下はじめ軍上層に回覧し、批判検討を加えて、更に四時間で、全軍に通達・下令する手筈となっております』『勝算は?』 『五分』 皇帝の一番知りたい質問に、返された彼の股肱の回答は、簡潔かつ正確で、信頼にみあう物だった。 しかしそれは、エタンの疑問は解消出来ても、不安を静める内容としては、期待出来そうになかった。



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