暗闇から駆ける音がする。切れかけた街灯がそれを照らした。それは高校生くらいの黒髪の少年‥。路地から車が出てきた。少年は、間一髪よけた。車のボンネットに転がるように乗るとまた走る。車の運転手は怒鳴りながら出てくるが少年はそんな声は聞こえない。よろけながらさびれた商店街を走る。人にぶつかっても謝る余裕はない、ただ怯えた目で何かから逃げるように走る。カンカン… 少年の背後には踏切が‥「何で‥何でだよっ!」一言叫ぶと、踏切をくぐり‥ギギ?ッ凄まじい金属音と悲鳴。赤い月に負けないような美しい血吹雪を散らした。