霧の中,俺たちを救えるのは,鏡とタロットだけ。
タロットの奇跡。 3
「ワンオラクル,ですか」
俺の提案に,鏡はふむぅと考え込んだ。
コイツ普段はひねくれてて可愛くねぇけど,こういう仕草はめちゃくちゃ可愛いんだよなぁ・・・
しかもそんな可愛い娘のダチが俺1人,ときたもんだ。
いくらでもチャンスはあるんじゃねぇ?うっへっへ。
なんて邪なことを考えつつ,俺は鏡を見た。
鏡は3センチ上にある俺の顔を見上げ,きっぱりと言った。
「無理です。あれやり方は簡単ですが,読むのが難しいんです。」
一応やり方説明。
シャッフルしたタロットを1枚引っこ抜くだけ。
でもいろんな意味がこもった1枚だから,読むのが難しいわけで。
「えぇ,マジっすか鏡さん」
「マジっすよ光一君」
んな事言われても,俺にはもう鏡しか頼れないわけで。
「頼むよ鏡,なんでもする」
「なんでもですか?」
鏡はそう問い返し,上目遣いで俺を見る。
可愛い,可愛すぎるぜ鏡。いやはや。
「マジ!なんでもする!」
「もう引いていますよ,光一君」
俺が一押しする間もなく,鏡は早くも行動を起こし,あの生意気な口を叩く。
前言撤回,コイツ全然可愛くねぇ。
俺は気を取り直し,鏡に言った。
「で,カード何?」
「大変です,光一君」
鏡がそう言って見せたカードは。
「死神,デスか」