「えッ!?」
何が起こったのか分からないまま瞬時に立ち上がった。体に異常ない。
そのまま立ちつくす私に
「お前、動くなよ!!」
マサを見ると顔面蒼白になっている。車の人も同じ表情で出てきた。
「何よ!!ケガないし...。」
私はマサの言っている事の意味が分からないまま、マサの目線の先に目をやると...。『えッ...。』一瞬、息が止まった。
「見るなって!!」
マサの大きな声も風とともに私の耳から吹き飛ばされた。
私の足は何がどうなっているのか、パックリとさけている。血は出ていないが、何とも言えない状態だった。人間の体の中を見るのは初めてだ。あんな風になっているなんて...。
「アハハハハ...。」
私は意味もなく笑ってしまった。
「病院行こう!!ここら病院どこにある??」
「すぐそこにある。」
「救急車呼ぶより車に乗せていくわ!!」
おじさんとマサは動揺している私を連れ車に乗せる。
「マサ、けがは??」
思い出したように私が彼に聞くと、
「俺の事は気にするな!!イケルけん!!お前がイケルんか??」
「たぶん...。よう分からん。」
自分自身、痛みも何もない現実に事故にあった自覚すらなかった。
もう一度確かめるように足を見つめると、
「見るなって!!」
そう言うとマサは私の目を手でふさぎ、私の手を力強く握りしめた。
『えッ...。』彼の手は震えていた。私の手が震えているのか、二人とも震えているのか分からないが、彼の手のぬくもりに少し気持ちが落ち着き始めた。
そうして病院に着いた。