私は聖夜と黒峯どちからが好きか分からない
けど分かるのは──
白藍を愛してない…
白藍を愛せない…
でも私は白藍を大事に思ってる──
朝。夜明けを知らせる太陽が上った。朝日が朝露を照らし草木が輝く。心地良い夜明けの景色。
「行って来ます」
「しゅ……朱斐」
玄関で学校に行く朱斐を見送る。
「?何」
「き・昨日は……悪かった。その……」
恥じ入りながら聖夜が言うと、朱斐はニコッと笑う。
「昨日? ごめんなさい、良く覚えて無いの。じゃあね」
「えっ…朱斐?!」
聖夜に手を振ると玄関外で待っていた車に乗り込み、朱斐は行ってしまった。
呆然と聖夜が見送る。
「──……大の大人で男が……女に弱音言う何て恥ずかしいよね。だから昨日の事を忘れる──」
下を向いている朱斐が、走行中の車の中でポツリとつぶやく。
首を左右に振ると携帯を取り出した。
「黄藍話があるの」
某高級ホテルの一室。
朱斐は学校をサボりここにいる。
椅子に、険しい顔でジッと動かず固まったように座っている。
「朱斐」
背後からの声に反応し、ガタッと椅子から立ち上がった。
「あっ……黄藍。お・おはよう」
「おはようございます。朱斐様」
ニコニコ笑顔爽やかオーラから黒いオーラがにじみ出ている。
「ご・ごめんなさい! いきなり会いたい何て……あ・あの」
黄藍がビクビクしている朱斐に溜め息混じりに呆れ、椅子に座るよう言った。
「話があるんですよね? 何の用件ですか?」
向かい合わせに座り、黄藍が軽い気持ちで問う。
「あ……のね……その」
「はっきり言って下さい。こっちも何かと忙し……」
「白藍との婚約解消を手助けして欲しいの!!」
朱斐が、気持ちを固め一気に思いを吐き出し、ブツける。
「……ハッ?」
「だから……」
「何……聖夜はどうしたんですか?」
「せ・聖夜の事は……関係無い」
「関係無い……ですか。では私に抱かれる覚悟が出来たとでも? まさかありえ……」
「お願い……できるなら──」
真剣な顔で、黄藍を見つめる。
「──……本気で言ってるんですか?」
「──白藍に私はふさわしく無いから」
それしか方法が無いなら…