宇宙戦隊・34

豆宮  2006-12-04投稿
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「任せろって!」
コウは明るく言ったが、内心はテシに勝った優越感よりも、これからの不安の方が勝っていた。
「良かったね〜お兄さん」
「どーも、ありがとう!」
男が目を細めて笑う。笑った顔は幼い子供のようだ。
「さて…連れていく前に。その布に包まれた物の中身を見せてもらおう」
テシが先程からずっと男の後ろに転がっている“何か”を指差した。
「あぁこれな、俺もさっき気になって見たで。何で一緒におるのかはまるっきり思いだせへんのやけど…」
男が“何か”をくるんでいる布に手を伸ばし、捲ろうとした。
「待って!僕がやるよ」
テチが男の代わりに名乗り出た。この行為にはテシもコウも感心した。男が悪人である証拠は無いが善人である証拠も無い。この“何か”も武器でないとは言いきれない。男が急に態度を変えて武器を手にする可能性もある。テチはそれを防いだのだ。
「テチ、気をつけろよ」
「うん」
テチは静かにその布を捲った…



「みゃあああああっ!!」
「ぎゃああああ!?」
「ぬぉぉぉおおおお!!!」

テチ、コウ、テシは驚いてその場で飛び上がった。
その“何か”は“人”の形をしていた。
…しかし、体中継ぎ接ぎだらけで、頭から無数の回線が出ている。

男は冷静に話す。

「多分こいつ…アンドロイドや。肌も硬いし…って、あんさん達なんでそないに驚いとるの」
「だってぇ〜頭からいっぱい回線出てるし…」
「体中が継ぎ接ぎだらけだし…」
「私は二人の叫び声に驚いた…」
「…大丈夫かいなあんたら」

その“何か”は目を閉じ、死人のように…アンドロイドだから当たり前かもしれないが、冷たく横たわっていた。男と同じ白い袴と下駄。背は高めで焦茶のシャツが随分短く見える。そして血のように真っ赤な髪と継ぎ接ぎだらけの体…それがこの“何か”の存在の不気味さを体言していた。
そして…そんなアンドロイドと一緒にいたこの男もただ者じゃあるまい。
「…とりあえずメリードに戻ろう。詳しい話は後だ」
サリに無線で手短に事情を説明して、コウ達は順々にバトルシップに乗り込んだ。

「あれ?」
乗り込む時に、テチは足下に青く光る不思議な石を見つけた。
「キレイ…」
「テチ!早く乗れよ!」
「あ、うん」
テチは素早くそれをポケットに突っ込むと何事もなかったようにバトルシップに乗り込んだ。



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