暗闇の女?

あぶら翔  2006-12-04投稿
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その体は傷だらけで震えているのが見えた。 「もしかして怪我してる?」ぼんやりだけど僕の学生服にも彼女の血の手形が見えた。 「私も…私も懸命に抵抗したわ、でも…あの女…狂ってる。笑いながらカマを振りかざしてきたのよ、何度も何度も…」 「嘘だろ?おいっ!嘘なんだろ?ちくしょう…俺がぶっ殺してやるっ!ちくしょう!」 「駄目よ、多分あなたの部屋だと思うけど、その女あなたを探して行ったわ、警察を呼びましょ」 「そんなクソ女俺がぶっ殺してやる!離せよっ!」 僕は泣き叫びながら玄関の戸を開た。 ダンッ―――――― 「ちくしょうっ!出て来やがれクソ野郎!」僕の声が家の中に響いた。真っ暗な家の中は物凄く嫌な匂いがした「おえぇ!」 「大丈夫?」 「母さんはどこ?悪いけど電気付けてくれない?ブレーカー落とされてる」 「分かったわ、お母さんは居間よ、でも見ない方がいい、あいつがいるかもしれないし、お母さんはもう…」 「いいんだって!それより電気お願いします」僕は玄関に置いてあった傘を持って居間に向かった。 ギィーッ 静かに開けたつもりのドアが鈍い音をだした。(ゴクッ) 居間は真っ暗だ。 手探りで電気のスイッチを探したが震えてよく分からない。 (早くブレーカー上げてよ) 僕は息を殺しながら、ゆっくりソファをなぞった。 パアッ――! 突然部屋の明かりが付いた。それまでの緊張と不安で思わず声がでた。 「うわっ!まぶしいっ」そう言って僕はなりふり構わず傘を振り回した。と同時に目の前の光景に愕然と絶望が交差していた。 「母さんっ!母さんっ!」その目の前の人は今朝僕に学校をサボってばかりいた事を ずっと怒って、見送りの時までずっと説教していた間違いなく母だった。首の半分はカマの刃でえぐられていた、今朝まで着ていた白のTシャツは真っ赤に染まり、指輪を見るまでは母だと信じられなかった。



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