そういう魔法的な要素はないですよ。これは、ファンタジー小説じゃない。単に鈴木のおっさんが近所の居酒屋でよっぱらってた時に聞いた話だから。ただ、彼は酔うとデカい口を叩く癖があるので、半分ウソだと思ってる。おっさんにオファーが多いのは、単に、長年の経験と勘からマジメに地道に仕事をしてるからじゃないかな。どっちにしろ、庭園のことはよくわからない。おっさんがたまにシラフの時、「あそこに見える松はね……」と、レクチャーしてくれるが、難しくて、すぐに眠ってしまう。そんな僕をおっさんは家まで送ってくれる。やさしい人だ。