同じ夢を何度も見る。
以前訪れたベトナム、ホーチミン。私はホーチミンが大好きだ。そして、もう一度行きたい場所、会いたい人達がいる。
やっと来る事ができた。来れた!と思ったら、それは夢だった。何度がっかりしたことだろう。でも遂に来る事ができた。夢じゃない。この気温、街の音、臭い、やっと訪れることができた。そう、この道をもう少しまっすぐ行くと大きな通りにでる。左にはグランドホテル。その先にはマジェスティックホテル。ここは前にお茶をしたカフェ。昔のままだ。HIEN達は元気だろうか?私の事、覚えているだろうか?また一緒に国営百貨店に行って、ウインドウショッピングしたりしようか?確かこの辺だ。でもこんなに薄暗い路地だっただろうか?どうやらずいぶん、先まで進んでしまったようだ。引き返そう。そうだ。ここからなら、あのデパートの中を通っていけば近いはずだ。それにしても、人や店が多い。通路なんて人一人が通るのがやっとだ。ああ、この雑貨屋には見覚えがある。安くて履きやすそうなサンダルを買った。デパートの店はどこまでも続いている。滞在時間はあと少し。早く行かなくては。ああ暑い。足も重い。もう少しでつくはず。あの通りの少し先。暑い、歩けない。暑い。
またホーチミンには行くことができなかった。コンチネンタルホテルで静かに過ごすことも、サイゴン川を眺めることも、あの人達に会うことも、またできなかった。