「……」
目を覚ますとそこは、山の上だった。『ご苦労さま!山頂です』と書かれた不必要にでかい看板が立っている。
「何で俺……。こんなとこに居るんだ?」
俺は記憶の袋を漁る。が結構散らかっていてなかなか気を失う前の記憶が出てこない。
「クーラーをタイマーセットして寝たのまでは覚えているんだが……。ん?クーラー?」
クーラー……。!ふ、フロン!
俺は唐突に全てを思い出した。
「あのフロンとかいう女に変なもの張り付けられて気を失っちまったんだった」
俺は辺りを見回す。あの女はどこだ!?
「お〜い!……一馬さ〜ん!こっちですよ〜!」
背後から俺を呼ぶ声が聞こえる。
ギギギッと油の足りてないロボットのようなたどたどしい動作で後ろを振り向く俺。
そこには……。
「一馬さ〜ん!はむ。……。んっ。こっちでふよ〜!」
めちゃくちゃ茶店で饅頭食いながらほのぼのしてやがるフロンの姿があった。
「うぅぉぉぉおおお!!」
凄まじいダッシュでフロンの元に駆け寄る俺。
「てめぇ俺を放っといて何してやがる!」
怒気すらはらんだ声でフロンを威圧したつもりの俺。
「まぁまぁ。一杯いかがですか?」
しかし、この女は鈍かったのであった。茶を差し出されてしまった。
この物語が軌道に乗るのはいつの事やら……。