「……」
「夢の中で殺すといってもよく分からないでしょうから、一つ例を挙げてみましょうか。
昨年十二月にB社の社長がお亡くなりになりましたが、そのことはご存知で?」
無論だ。
死因は確か自宅の階段の最上段から転落して死亡だとか。
ルックスがよく、しゃべりがうまく、テレビ番組にしばしば出ていたので覚えている。
「不慮の事故と、新聞やテレビでは取りあげられていましたが違います。
僕が殺しました。あの人の夢の中で」
「夢の中で彼はあなたが思っているようなことと同じことを口にしました。
どうして自分が殺されなければならないのかとね。
そして、どうか殺さないでくれともいいましたが、僕は彼にこういってやりました」
―続く―