ファミレスのバイトが終わり夕焼け色に染まった繁華街を歩きながら、小説になりそうな物がないか考えていたその時、後ろの方から 光〜、バイト終わりかあ?と一見ホストかと思うようなガッチリ固めた前髪と女の子を意識したような胸元がザックリ開いたシャツを着た男が黒いコートを風になびかせて走ってきた。いくら風に吹かれても崩れる事のなさそうな前髪を直しながら近寄ってきたその男は光の肩に手を回して馴れ馴れしい態度で 俺さあ、今度のオーディションは自信あるんだよねえ、今度の役、俺にピッタリだと思わん。といいながら道をすれ違う女に目をやりながら自信たっぷりに話しかけてきた。