・・・2058年9月10日・・・
「おい、聞いたか?」
バーでは、ある話で
持ち切りだった。
「暗殺部隊のあいつだろ。まったく、可哀相なものだよな。」
「あんな子供が暗殺部隊
だなんて。」
「腕が立つとはいえな。」事前に戦争を防ぐために
ある暗殺部隊が結成された・・・その中に一人だけ
子供がいたという。
「任務・・・
完了しました。」
無線で連絡をとる。
「分かった、今から向かえを出す。T-75で待て。」
「了解。」
連絡を終え、目的地に向かう。その途中で
警報がなる。警備員達が追って来た。だが、警備員達は驚いた。そこにいたのは子供だから・・・。
「情けは無用だ。
捕らえろ!」
子供は警備員の一人の首を切る、気付くとまた一人首の骨を折られた。次々と死んでいく。そして、ヘリに乗り脱出した。
ヘリの中で言われた。
「お前、敵に見つかったようだな。ボスの命令だ。
覚悟しろ。」
見つかった時に顔を見られた可能性、それは否定出来ない物だった。
「ただでは死なない。」
ヘリの中で激しい殺し合いの場となる。
しかし、多勢に無勢では
腕が立つとは言え生き残れない。
一か八かで飛び降りた。
「逃げたか。まあ、この高さなら・・・。」
空中・・・
(空気抵抗の強く出来る物は何かないか。)
必死に探す、幸いにも
大きな布が見つかった。
パラシュートのように扱った。
何とか木の上に着地した。「助かった。」
安心したのか、そのまま
寝ていた。そして、一夜が明けた。
天候は雨、僕は街中に向かった。冷たい、身体の体温が奪われていく。
「寒くないですか。」
話し掛けられた。歳は同じ位だろう。
「雨に濡れて
寒そうですよ。」
「関係ない。」
僕はその場を
去ろうとした。
「駄目です、こっちに来て下さい。」
そのまま、手を握られ、
連れてかれた。
「名前は何ですか?」
「水鏡院 零。」
「どこに住んで
るんですか?」
「帰る場所なんかない。」僕はその手を放した。
「だから、関係ないと。」その少女の父親らしき
人が来た。
「どうしたんだ、遥。」
「お父さん。」
こっちの方を見ている。
「友達か?」
「いえ、違います。
僕はこれで。」
僕は逃げようとした。
「君・・・孤児か?」
僕は足を止めた。
「そんな感じです。」
「私の家に
居候しないか?」
僕は、初めて涙を流した。何でだろうか?
暖かさを感じた、
初めての感覚だ。