かづら橋を訪れると、二人で川面に近づき、休憩した。
「天気がよくて良かったね」
「良かった良かった」
一昨日まで、四国には大きな台風が来ていて、旅行も行けるか心配だった。
「晴れ女ですよね〜」
「互いにね〜」
話さなくてはいけない切羽詰まった感じも、何も話すことがない様なつまらない感じも違う。
あの人といる時間は、僕にとって居心地のいい場所だった。
帰りに徳島に立ち寄り、徳島ラーメンを食べた。「なんか…、2日間なんてアッと言う間だね」
猫舌のあの人は、れんげに小さなラーメンを作って、フーフーしながら言った。
「まだ、終わってませんよ」
僕は笑って答えた。
夕暮れを過ぎて、日も落ちた頃明石海峡を渡り、「ちょっと、寄りたい所がある」と言って、バーを訪れた。
「うわぁ」あの人は、バーの外に見える明石大橋に大喜びしていた。
時間差で虹色に変わる橋を見ながら、短い旅行のお疲れ様会をした。
「無事に帰れて良かった」
「今日、そっち泊まっていいですか?」
「三万円!」
「…。またぁ〜」
喧嘩するどころか、深くあの人に触れて、正直僕は、戸惑っていた。