「あれは……。日本?……いや、地球!?」
俺の見上げた先にあったのは、まばらに浮かぶ雲と、そして、青空ではなく、地球そのものが見えた。
「あれが、一馬さんのお家がある表の日本。いえ、表の地球です」
そう説明するフロンの方を見ると、「お分り頂けましたか?」と優しい微笑で付け加えられた。
「ちょっと待て。あれがお前の言う表の地球だとして、今俺たちが居る裏の地球は一体宇宙のどこにあったんだよ!?」
少なくとも表からはこんなものが見えたことは無い。
「それはですね。ここが皆さんの思いの集合体だからです」
微笑のまま事もなげに答えるフロン。
「は……!?お、思いぃ?」
そんな抽象的な表現、漫画でも見たことない。
「表の地球の童話にもありますよね。地上と時間の流れが違う場所とか、夢の中の世界を冒険したりするお話が。ここは、そういう表の皆さんの『有り得ない』想像が集まって出来た幻の惑星なんです。だから表からは見えないんです」
フロンの説明は言葉だけなら理解できるが、現実に自分がその場所にいるんだとなると、いまいち実感が湧かない。
「実感が湧かないですかぁ?じゃあいやでもこの世界の凄さを教えてあげますよ」
そう言ってフロンは懐からある物を取り出した。