間もなく二番ホームに麻布行き、麻布行きが到着致します、お乗りのお客様は白線の内側まで お下がり下さい――― 混雑しているホームは一層激しさを増した。 (ひぇ〜彼はどこ?彼はどこ?) 瑠璃は人々に揉まれながら必死に賀川零児を捜した。 (あーっ見っけ!…って嘘!彼とマージャン君って友達ぃ……!) 瑠璃は『彼とマージャン君』の並びの後ろをキープして二人の会話に聞耳を立てた。 「ういっす!零児相変わらず、遅いね」 「お前だけには、言われたくないね」 「へへへ、俺はまた今朝までこれ…」友人の森川 優斗はマージャンの牌を積み上げる仕草をして笑っていた。「かーっ!ホント優ちゃんは好きだねぇ!でもさ、その鞄の牌のキーホルダーは止めた方がいいぜ、でか過ぎだしセンスないよ」 「あほっ!これが俺の御守りなの!」 「実際、いつも地下鉄の中じゃ邪魔だぜ、それ」 「うるせぇ!」 (な〜んだ、マージャン君って優ちゃんって言うのかぁ…、零児君って言うんだぁ、いひっ♪収穫、収穫) 瑠璃は このまま地下鉄が来なければいいのにって思っていた。