朝は、あの人の家から出勤した。
夜には旅行から彼女が帰ってくる。
2つの旅行は、なぜかしら僕を追い詰めた。
ちゃらんぽらんだった僕の生き方に、「誠実」という言葉が痛く突き刺した。
二人を同時に幸せにする事は出来ない。
僕が今そばにいて欲しい人は、あの人だ。
彼女と別れよう。
「ただいま。今、関空に着いた。」
彼女からのメールだった。
週末、彼女に会った。
「実家にお土産持って行きたい。お母さんが、二人で夕飯食べにおいでって」
こんな思いで、彼女の実家に行けない。
「俺、いいわ…。行ってくればいいやん」
「なんで?用事ないんでしょ?」
不服そうに彼女が言った。
「暫く、会いたくない」
「何でそんな話になるの?どうして、行けないことが、会いたくない事になるの?」
涙声で、彼女に質問された。
「おかしいよ…。三年前にやり直そうって、離したくないって言った言葉は嘘だったの?」
彼女の言葉が、突き刺さる。
嫌いな訳じゃない。僕は何もかも、無かった事にしたかった。一人で静かに考えたかった。
「ごめん…。今の俺には、お前の両親に会う事出来ない。」
その時出来る精一杯の返事だった。