第6ディメット暦187年14月03日
〜均衡を保つ街 サリュトス・デクロス側〜
「こんなところにいたら風邪をひきますよ、禅煌さん。」
「……………エルク殿か。『こんなところ』では読者に伝わらないのではごさらんかな?」
「流石に屋根の上に居るなんて思いもしませんでした。」
「…………フフ、考え事をするにはここが一番良い。」
『…………ば か な 真似は 止めなさーい!!!!!!……………』
「…………あの声、レイラのですね。」
「そうですな。」
「ところで、さっきの『考え事』って何ですか?」
「明日、それがしが話す事は少し人間の常識から外れている、それを彼ら……無論エルク殿も理解なされるかどうか……………」
「ハハ、そう言うの『杞憂』って言うんですよね。
………………僕はともかく、彼等なら理解できる筈です。
すんなり…とは行かないでしょうけど、必ず彼等は理解できます。」
「ハハハ、杞憂でござるか。………エルク殿、ありがとうござる。」
「いえ、とんでもない。」
「そろそろ降りないと本当に風邪ひいちゃいますね。」
「そうですな。」
第6ディメット暦187年14月03日
〜??????????????〜
薄暗く、広大な部屋の天井を突き破るかのように、様々な機械が置かれている。
「どうだい、アストンは。」
「あっ、オーレン様、オーレン様が素早く回収なさったので一命を取り留めました。」
「……そうか、で、剣士協会に登録されている剣士の中の………リオン・ライオットのデータが見たい。」
「はい、かしこまりました。」
そう言うと白衣の男は巨大なキーボードのエンターキーを押す。
すると、これまた巨大なスクリーンに大量の名簿が現れ、その中の1つがピックアップされる。
「こちらでよろしいでしょうか?」
「ああ。
リオン・ライオット……剣士になってまだ一週間程……デクロス王国の王族の末流にして、ライオット流剣術の家本の息子、既に免許皆伝されている……………か。」
「これがどうかしましたか?」
「……いや、……………このデータをROMに焼いてくれ。…………グレンに見せる。」
「はっ、かしこまりました。」
「王族…………か。」
第16-3話『真相』続