航宙機動部隊28

まっかつ  2006-12-09投稿
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銀河元号二一八七年・帝国紀年六六年・共和暦三一四年末・シルミウム星系外縁・統合宇宙軍総旗艦・《スタニドルフ》― エタンは、帝国第四世皇帝だ。 しかし、先代テロンとは血縁上何の繋がりもなければ、面識すらない。 一人この青年に限らない。 歴代皇帝全員そうだ。 先代が死去すると、その都度最も相応しいとされる人間が、統合宇宙軍全体の推戴を受けて即位する。 この帝国には、重臣と言う存在は愚か、その概念すらない。 古くは軍幹部連、今では大本営が、敢えて言えばそれに該当する。
実質的には彼等が擁立し、全将兵の歓呼と忠誠の宣誓を受けながら、玉座に就く。 帝国皇帝は、その地位も、権能もどこまで行っても、終身の軍事司令官なのだ。少なくともここでは、その称号は王侯貴族の巨大化したのを、意味しない。 それどころかエタンは、帝国に生を受けた分けでも、最外縁《タルタロス》で育った分けでも、統合宇宙軍の一員だった分けでもない。 歴代皇帝の中でも極めて異例の、否、全く初めての存在だったのだ。 つまり、この世界の人間ではないのだ。 最も、全銀河のはきだめと化して久しい、この辺境の中で、れっきとした星民など、探す方が困難なのだが。 それでもエタンは、その出身と経歴に置いて、特筆すべき存在だった。 生まれは銀河中央域 文明圏の更に最先進世界たる王畿《メトロウォ―ズ》、特に深刻な事情や彫落によって、ここに流れて来たわけでもない。 裕福な生家と高い学歴。 文教惑星の一つリュケイオンで、名門・現代稷下学院・経営学部・組織運用哲学科・リーダー型人材予備コースを、上の下の成績で卒業。 由緒ゆかしき星間複合巨大企業《ユニバーサル・コングロマリット》達相手に、就職戦線で勝ちまくり、贅沢過ぎる選択肢群から、彼が選んだのが、資本・信用・経常利益・傘下系列・社員総数・どれもを取っても銀河最大を誇る、星間軌道公社《URPC》だった。

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