どさっ
「いっ、痛ったーっ。……ってアレ?」
私は眠い目をこすりながら辺りを見回した。
何てことはない。ここは自分の家の自室だった。
ベッドから転げ落ちたせいで、腰が痛い。
手を伸ばし、目覚まし時計に目をやる。
七時ジャスト。
「うそっ……」
昨日ちゃんと五時にセットしておいたのに、鳴らなかったなんて……。
身震いしたが何時までも怖がっている暇はない。とりあえず身支度をすることにした。
制服に着替え、顔を洗い、髪をとかし、朝食をとることにはだいぶ落ち着きを取り戻していた。
今回のように目覚し時計をセットしても鳴らなかったことは過去に二、三度ある。ただの偶然だ。悪い夢を見て、こんなことがあったから気が動転したのだ。
「馬鹿馬鹿しい――」
あのガキは夢の中で人が殺せるといっていたが、単なる夢の中のお話だ。
そんなことできるわけがない。現実ではない。超非現実的だ。ありえない。
現に私はこうして生きているのだから……。
―続く―