サチの家の二軒隣に住む、お婆さんが犬を飼っている。薄茶の柴犬を少し大きくしたような、雑種の「ちょうすけ!!」ドリフターズ?である。サチが一人で外遊びするようになった時には既に定位置に着いていた。お婆さんお手製のロープと鎖を繋げた物に繋がれていたのだが、「これでもかっ!」という程全快に延ばし、道路ギリギリの所で、いつも人間ウオッチングしている。サチは毎日横に座り話しをしたり(一方的に…)お婆さんの代わりに散歩した。お婆さんが時々、鎖を忘れ野放しになる。ある日保健所のトラックからカウボーイのように網やロープで野犬を捕まえる、おじさん達が来た。サチは嫌な予感がし、ちょうすけを探した。予感は的中し、調度、ちょうすけを追い込んでいる最中だった。サチは「ダメ〜!」飛び出すと、見事にロープに捕まった…サチが捕まり、ちょうすけは無事逃走、大成功だ!それでもパパがサチ探し回っていると、たちょうすけがパパを連れ見事にサチの所へ、ご案内!と、二人は素晴らしいコンビプレイをした。サチは、ばぁちゃんが家事で忙しくしている時間は、ほとんど、ちょうすけと一緒だった。長いしっぽをクルンと巻いて、プルプル振り、いつも歓迎?してくれた。その日課が突然途切れてサチは心配で寂しくて、ちょうすけのお婆さんに「ちょうすけは?ちょうすけどうしたの?」と聞くと、お婆さんは、「ちょうすけも、さっちゃんを待ってたよ。」と家の中へ通してくれた。いつもならサチが一歩入った時点で、ちょうすけが飛び出て来るのに、いつもと違う反応にサチは不安になった。お婆さんが部屋の奥へと手招きしていた。ふと見ると大きな段ボール箱がモサモサ動いていて、そっ〜と覗きこむと、ちょうすけと、可愛い赤ちゃん達がスヤスヤ折り重なるように眠っていた。「あっ!赤ちゃん!!!」と思わず叫んだが、自分の人差し指を口に当て「しぃ〜っ!」と自分を黙らせる。「かわいいね〜ちょうすけ…」と小さい声で言った後、あれ?うそ…ちょうすけ女の子だったの〜?と初めて気が付いて、おかしくなった。それからは、少しづつ成長する子犬達とちょうすけを見ているだけで、とっても楽しかった。でも、それも長くは続かず、一匹づつ貰われて行く子犬を見送りながら、ちょうすけと泣いた。その度「ちょうすけが元気になりますよ〜に。」と、ばぁちゃんとお祈りをし、明日、サチのお菓子をあげようと誓うのだった…