「はい?」
彩祢は聞き返すように答えた。
「僕らは……とんでもないものを、造ってしまったようだ……―」
淡い橙の光を放ち、妖しくボコボコと音を立てる無数の円筒を上から見下ろして章人は言う。
「博士?」
「――この中には、キミの子もいたね?」
「――はい」
少しばかり戸惑いつつも、返答する。
この円筒は人口生育装置だった。
「キミは、その子をどう育てたい?」
「え?」
突然の質問に普段なら切り替えしの良い彩祢も答えられない。それを見て、章人は軟らかく微笑むと円筒へ向き直って唐突にいった。
「次のザロ計画は中止だ」
「――なッ…!?」
この言葉を聞いて彩祢は資料を持っていた手に力を込める。
「だってそうだろう?…コンナモノ造ったって、どうせ将来は兵器以外の何者にもならないんだから――」
章人は言った。