「じゃじゃ〜ん!」
元気な効果音と共にフロンが取り出したのは、ランドセルくらいの大きさの古ぼけた麻袋であった。
「……何それ?」
俺が尋ねると、フロンは待ってましたといわんばかりに大げさな身振り手振りで袋の説明を始めた。
「はい!この袋からまず持ち出したるはこの2冊のご本!」
そこまで言うとフロンはちらりと俺に何かを訴える視線をよこしてきた。
「……え、えーと。な、それは何ですか?」
俺がそう言うとフロンは満足気にうんうんと大きく頷き、本の説明を始めた。
「こちらのご本はその名も『道技書』!ちなみにこちらが『武道技書』!」
そう言って左手に持っている本を示すふろん。
「そしてこちらが『術道技書』!」
今度は右手を掲げる。
「道技書……って何?」
心身共にフロンに付いていけてない俺はとにかく基本中の基本であろう質問をフロンにぶつけた。
「よくぞ聞いてくださいました!道技書というのはいわばこちらの世界の特権をフルに生かすための教科書みたいなものです!」
「教科書?特権?」
いまいち理解に達しない俺。
教科書ってどういうことだ?
それに特権って?
俺の裏日本滞在はとても前途多難な様子だった。