舌先に残るオレンジの味。
この体を這った指の感触。
笑ってしまう。
フルーツ味のコンドームなんて、どこの誰が作ったんだろう。
想像すると笑える。
オレンジの味した薄いゴムに吐き出される白い種。熟れた橙の果実。果汁が溢れだしたら、もう戻る事はできない。
退屈な行為の中の、唯一つのスパイス。
勿論、ソレはあくまでスパイスだから、本物の刺激を求めてはいない。
あくまでコレは、遊びなのだから。
浴室の窓を開けると、溜った湯気が我先にと夜空に還っていく。
私にもあるのだろうか。
空に溶ける湯気の様に、海に流れる雨の様に。
私の帰る場所は、
どこ。