私は思う。一歩前を歩くあなたに。私が今、突然手を繋いだらどう思いますか?どんな顔をするのですか?
そんな事は出来ないのだけれど。だってあなたは別に私の彼氏ではないし。今一緒に歩いてるのだってバイト帰りに偶然一緒になっただけなのだし。
でも、暗い夜道を二人で歩いてたら、ちょっと雰囲気が出るじゃない?周りから見たら恋人同士に見えるじゃない?そんな些細な事でドキドキしてしまう私は相当恋してるのでしょうか?
この一年、あなたの事を想ってきました。会えるのはバイトが一緒の時だけ。週に二回会えればかなり満足です。それしか会えないのに私は恋に落ちました。
あなたの優しい声、長い睫毛、ごつごつした手。他にも挙げれば限りが無いほどあなたの全てが好きなのです。
あなたを好きになっていく度に、私の頭の中をあなたが埋め尽くしていきました。
もっと話してくれたらいいのに。電話してくれたらいいのに。手を繋いでくれたらいいのに。抱き締めてくれたらいいのに。キスをしてくれたらいいのに。恋人にしてくれたらいいのに。左手の薬指に指輪をはめてくれたらいいのに。
毎日あなたの事を考えながら暮らしています。あなたはそんな事、微塵も知らないでしょうけれど。
もうすぐ駅に着いてしまいます。彼は右に、私は左に曲がってしいます。勝手な恋人ごっこもここでおしまい。
でも、私はもうこれ以上勝手な恋人ごっこを続けていたく無いのです。
だから、曲がってしまう前に。曲がってしまう前に、今、あなたに気持ちを伝えます。
どうか、聞くだけ聞いて下さい。
「あなたが好きです。」