約一時間余りにわたって 知ってる限りの事を説明して なおみは 帰路についた。本橋は 上司である鬼木へ報告したが 鬼木は一点を見つめたまま 黙り込んだ。「どうかしましたか?」本橋は尋ねた「…なんか 今回の事件といい この間の事件といい 妙な感じだな 」確かに前回の事件は理屈が通らないような 不可思議な事件だったことは 記憶に新しい。だが今回の事件とは 何も共通点などなかった ただ1人の人間を除いて… 鬼木だけそう感じていたのは刑事の感というやつかもしれない いずれにしても、彼女の足取り 目撃情報を洗いなおす必要がある前回の事件とは別にチームを別れて 捜査が始まった。
「なんでよ …」翌日 あまりのショックから 立ち直れずにいたなおみは 1人 授業前の教室で考え込んでいた すでにみんなには 話は伝わっていて 一番の仲良しである 親友を失ったなおみにみな 声をかけるのをためらっていたそれぐらい 端からみても 落ち込んで見えたが クラスの男子の1人が 声をかけてきた「お前 国分と一緒にいたんだろ なんか 変わった所とか 気がついた事 もう一度よく 思い出したみ」同じ事を警察にも聞かれたが それ以上の事は 何もなかった