「とにかく実践してみましょう!……えーと、じゃあまずここを見てください」
そう言ってフロンは『武道技書』の方のページをぱらぱらとめくり、そして開いたまま俺に差し出してきた。
「ん〜?……けん、ほう?」
「違いますよ!ケンポウです。拳砲!」
フロンに間違いを指摘される。が、読み方が分かったても俺の理解はあまり前進していなかった。
「拳砲……って何?」
「これは言葉で説明するより見てもらった方が早いですね。ちょっと待ってください」
そう言うとフロンは最初に2冊の道技書を取り出した麻袋を再び漁り始めた。
「『武』の方は久しぶりだから上手く出来るか分かりませんがとにかく見ていてください」
フロンは袋から取り出したリストバンドのような物を両手首に付けながら言った。
「危ないですから少し離れていてください」
「は?い、一体何を始めようっての?」
「いいから離れていてください!」
フロンに背中を押され無理矢理離される俺。
「では、これが拳砲です。よく見ていてくださいね」
フロンはすぅーっと空気を一気に体内に取り込む。
「!?」
それからは一瞬だった。フロンの放った右の拳から光の束のようなものが凄まじい勢いで飛び出していった。
「……」
もしかしなくても俺はとんでもないところにきてしまったらしい。