爽田 真子。高校2年生。
只今彼氏無し。
「いってきま―す。」
眠気眼の目をこすり玄関を出る。
空気を吸い吐き出すと勢いよく白い息が
そこらじゅうに広がって消える。
「ま―こん♪」
「おはよ〜龍次!!」
幼馴染の松田龍次。最近グンと背が伸びて
男らしくなった。お兄ちゃんみたいな人。
「寒ィな〜!まこ平気か?」
「うん。あたし風の子だから!」
「ハハッ。」
冗談を言いながら二人で学校に向かう。
龍次は歩くのが遅い私に合わせて歩いて
くれる優しい奴。 モテるんだ。
「そんじゃなっ!!」
「うんっ!」
あっという間に着いて私達は靴箱で別れた「爽田、おはよ。」
「あ、滝君。おはよ。」
教室のドアでとうせんぼしてる男の子は
皆川滝君。バスケ部のエース。やっぱり
女子にモテている。
マフラ―を取り外している私に滝君が、
「今日知ってる?1限目、自習だってさ。」
「え、ほんと!?ラッキィ〜☆」
「何でも今日の朝、不審者が出たらしくてさそれで先生達緊急集会だって。」
「へぇ〜…。」
私に告げると滝君は教室から出て行った。
「まこ〜、おはよう。」
「おはよう!ねぇ知ってる?不審者のね…」
今日の学校でも話題はほとんどその不審者
のことで持ちきりだった。
帰りにも担任から
「不審者がうろついているから各自気をつけて帰るように!!以上!」
など厳重に注意された。一部の女子は不安
がっていたが私は全然怖くなかった。
だっていつも龍次と帰っているから。
でもこの日は運が悪かった。