瞬のことを聞いたあの日から8日が経った。
今日私は凌と病院に行く。
途中で可愛い黄色の花束を買った。
駅からバスでゆられること10分、ここら辺で一番大きな病院へと辿り着いた。
自動扉が開くと病院特有のにおいがした。
エレベーターに乗り7階へとあがる。
7階は呼吸器外科だ。
ナースステーションで受付を済ませ病室へと向かう。
廊下を歩いてすぐに見つけた。
【706号室 木崎瞬様】
‥本当にそうなんだと改めて思いながら扉を開いた。
真っ白で殺風景な部屋だった。4人部屋、右の窓側に瞬はいた。上半身だけ起こし、外をみていた。
瞬に近付く。
「よっ!」
っと凌が声をかける。
瞬が振り向いた。
笑顔になる。
「おぉー!2人とも来てくれたかー。」
やっぱり双子だ、笑顔までそっくりだった。
ただ‥前より少し痩せていた。左腕には点滴がついている。
『具合はどう?』
「うん。
おかげさまでだいぶいい。あっ、適当に座って。」
『うん。あっ、これ。』
花束を見せる。
「ありがとう!すげーきれーだな」
『でしょ?花瓶に移し替えてくるねっ』
「さんきゅ!」
病室を出る。
思わず溜息が出た。
あんなに元気なのに‥
‥嘘みたいだった。
花瓶に水をいれ、病室に戻った。
部屋を出る前と二人の様子がなにか‥違ってた。
『‥どうしたの?』
「ん?なにがぁ?♪」
っと笑顔で答える瞬。
瞬はティッシュを親指と人差し指でクルクルと丸めている。
『‥ううん
なんでもない』
それから3人で色々なことを、話した。
私たちは1週間に1回は必ず瞬のお見舞いに行った。
しかしあるときから凌は来なくなった。
誘う度に「わるい、今日は用事あるから」って。
どうもバイトをしているらしかった。