目を開けても、
目を閉じた時と同じ。
ただ広がる、黒。
天国も地獄もこの世にはない。結局そんなものはゾロアスター教から生まれた二極論に過ぎない。
人が一つ所から生まれる限り、死ぬ所も一つ。
でも、それでも
ひとりは寂しい。
私は死ねているのだろうか。なぜこんな感情が残っているのだろうか。
人を殺すと、安らかには眠れないのだろうか。
ふと、何かが変わった。
迷宮の中で外からの風を感じたかのような、僅かな、けれど確かな物。
まるで闇から光の下に出たかのように。
何でもいい。
このまま死ぬのは嫌。
私は走り出した。
黒い光へ。