浜辺を散歩していてこう思った
大航海時代、男達は新大陸や印度(インド)に向けて
大海原へと旅立っていった
この国の先人達も、
金銀財宝や香辛料などを求めて旅立っていった
再び故郷の地を踏めるという保証は何処にもなくても……
嵐が来た
雷が大地を裂き、風雨が人や建物を鋭く尖った爪で引っかく
「舵を取れー」
「早くしろー!もたもたするなーっ!」
水夫達は口々に叫ぶ
ドォオォオオオォォオォン
大波が押し寄せ、丸々一そうの船を飲み込んだ
ボコッ、ボコッ、ボコッ、
男達は沈んでいく
真っ暗で、不可思議で、時に鋭い牙を見せる海の底へ
少しずつ、水圧と、水温が、男達の命をむしばんでいく
沈みながら男達は何を思ったのだろう
「助けてくれ」と神に祈ったのだろうか
それとも何か懺悔(ざんげ)でもしたのだろうか
誰にも分からない
ただ神と、己と、この大海原のみぞ知る