人気の居ない所で渡された文を読む…弥一は読み書きが出来る奉公人だ。弥一が居る寮へと足早に急ぐ…寮には平助は居らず、弥一だけが寮に居た。私を見付けると深々と頭を垂れて、出迎えてくれた。弥一が仕入れた話を聞く為に寮へ来たが、その話は私に取って耳を塞ぎたくなるモノだった…。
「龍之介様…あっしが聞き入れた話はこれだけです」
「そうか…ご苦労だったな」
「いいえ、滅相にもありません」
「…平助を使いにやったのは、その為か」
「へい…」
「耳には入れたくはないな…こんな話」
心には『さよ』と『ちよ』が居る…私の幸せは元には戻らない…悔やんでも悔やんでも後の祭りなのだ…。
現実と夢の狭間で…別編へと続く