俺は､急いで病院に行った｡ﾄﾞｱをいきよいよく開け､中に入った｡
颯希は驚いた顔で｢海ちゃん…｣
病室の彼女は一ヵ月前とは別人だった｡颯希は今の姿を見せるのが嫌で布団を被った｡
一ヵ月ぶりの再会は以外なものだった｡
俺は｢颯希は颯希だ!俺は今も颯希が好きだ!｣と言った｡颯希は恐る恐る布団から顔を出した｡｢私…ｺﾞﾒﾝ｡｣
俺は今日､突然会いに行ったことで颯希に少し迷惑をかけたと思った｡今日はこれで帰ると言って病室を出た｡｢また､来るよ｡｣
俺が部屋から出た時に一人の女性が立っていた｡
｢初めまして｡颯希の母(純恵)です｡｣
俺は焦って挨拶をしたら軽く笑われた｡
純恵は俺に話があると言って食堂に行った｡
｢颯希から聞いています｡神田海斗君よね?娘がお世話になっています｡｣
俺は｢世話になってるのは､俺の方｣だとまた速攻に言った｡
しばらく話すと純恵は｢娘とよくしてもらって､大変嬉しいのですが…｣と話の内容がいきなり変わった｡
俺はその先を聞く前に聞きたい事があると言った｡それは､彼女の病気のことだ｡手紙には抗癌剤を使っているとしか書かれていなかった｡抗癌剤の意味は分かっているが､実際どうなっているのか気になった｡
俺は想像以上の事を言われた｡
その帰り道､俺は颯希と約束したあの場所にいた｡
颯希の母が言ったのは…
｢娘は骨肉腫です｡医師からはもって…今年の…春か夏だと…｡｣
俺は学校に行ってﾎﾞｰﾙを投げ続けた｡
｢短くてあと､2ヵ月…医師も分からないのが現状で…だから…娘とは…もう…｡あの子が可哀想ですし､あなただって三年になるんだから大変な時期だから…お願いします……｡娘ともう会わないで下さい｡｣母親に頭を下げられた俺は固まっていた｡
この人､何を話してるんだろうと思っていた｡
その内､雨が降りだんだん強い雨になっていた｡
｢くそ??!!!!｣俺は投げ続けた｡
｢神の馬鹿!!なんで､颯希がｱﾝﾀの所に逝くような悪い事したかよ!!｣
雨はｸﾞﾗｳﾝﾄﾞの土を崩した｡そして､俺と颯希との世界まで崩しているような気がしてならなかった｡
これが2012年､1月のはじめの話だった｡
この時､誰もが彼女が生きると信じていた｡これからも｡来年の春には一緒に卒業できると｡
[455] 
[0] 
[0]
