雪「ナッちゃん…」
雪がため息混じりにナツキに話かける。
夏希「なぁに?」
雪「原田クンはまだしも…ね。」
夏希「ん?」
雪「…真也先輩に洋治クン。ここにいる研二クン。」
夏希「うん。」
雪「少なくともナッちゃんが彼氏にしたいって言った3人に告られたのはだぁれ?」
原田「えっ!?3人とも!?」
研二「…昔…にねっ」
研二は少し苦笑いした。
雪「で…告られたナツキちゃんはぁ?どしたんだっけ?」
夏希「ハイ!『ごめんなさい』って言いました☆」
原田「3人とも?付き合ってもないの?」
研二「即答…ね」
雪「ほらっ洋治クンなんて未だに告ってんのにっ」
原田「アレって…やっぱ本気なん?」
研二「だね!俺が知ってる限り…6年くらい?」
雪「あんなモテるのに彼女も作んないしっ」
原田「……」
雪「彼氏にしたい男に告られて、なんで断るの!?」
研二「ゆっちゃん!!そこは…」
雪「なんで?」
研二「原田は…なぁ!?」
雪「だから知って貰ったほうがっっ」
何かを察したように、原田の顔が曇る。
夏希「やだゆっちゃん!なんでってぇ分かってるぢゃん♪」
雪「原田クン…どーする?聞く?」
原田「…いや…あの…」
研二「聞かん方が…あーでも俺らその為に着いて来たんだっけ…」
雪「研二クンは黙ってて!原田クンどうする?」
原田「…いや…えっと…」
タラリーン タッタッタッ…
真也「ハイハーイ♪」
深刻な空気の中に、真也の明るい声が響く。
雪「もぅっ先輩!今大事なトコなのにぃ→」
真也「コッチも大事なハズなんだなぁ。まぁ別に俺はいんだけど→…」
雪「はっ?」
夏希「ナニナニ?」
ナツキが真也に向かって身体を乗り出す。
真也は軽く微笑みを見せ、ナツキに優しく話しかけた。
真也「お前の鞄がさぁ。ナゼかコッチあんだケド!?」
夏希「あれ?いつの間に…って!」
夏希が勢い良く立ち上がる。
夏希「何時?」
真也「ケータイ。鳴ってるよぉ〜」
夏希「キャーっ真也クンっ出して!!」
原田「えっ!?桜さんの携帯って…コレ…」
夏希の席に置かれたままの携帯を原田が指差した。
研二「コレね。そーだよぉナッちゃんの携帯☆」
原田「でも鳴ってないし…鞄って」
困惑した原田を尻目に、ナツキは店の外へと走り去った。