地面が揺れる。思うのだが、このmoon carの名称は検討し直すべきだ。歴史の本で見たcarというのは車輪が４つ。窓がついていてガソリンという燃料で走るものだ。しかし、この月の車とやらはどうだ。立派なオリハルコンの翼。燃料ではなく、空気摩擦により静電気のどうたらこうたらで「飛ぶ」。種類はオープンからトラックまで様々だ。 「マラタナ！！」
凄まじい爆音に負けじと声を張り上げる。
「あんたは居住区に戻ってくれ！」
マラタナは腕を組んで叫ぶ。
「アカナはどうするつもりだ！！」
俺は操縦管を握って浮いた。
「ちょいとカズキに用があるんでね！」
マラタナ整備場全体を揺らしながら、俺はmoon station上空に飛んだ。
滑稽な景色だ。オレンジ色の土の上に、ところ狭しと高層ビルが立ち並ぶ。その都心部の東には居住区という住宅密集区がある。
その高層ビルの中でもひときわ大きい「nova」。新星建設計画の中心地だ。そのなかで働く親友カズキは、18歳のnova建設員だ。普段はnovaビルの中でいろいろ会議に出回ってるらしい。タメなのに大したもんだ。
俺はnovaビル駐車場にむけてハンドルをきった。
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