ZaRO<3>

Lip  2006-12-20投稿
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「ッ……」

章人は再度こちらへ振り返ると足早に歩を進めた。


「じゃ、レイに会ってくるよ。」

そう言ってさらりと彩祢の横を過ぎて扉へ向かう。

「………!」

つかの間、茫然と突っ立っていた彩祢だが、はっとして勢い良く振り返った。

「待って!沖野ッッ――待ちなさい!!」

大声で章人を呼び止め、駆け寄る。

「――」

章人は立ち止まるだけ。その背に言葉を投げかける。

「――貴方…レイに話す気ね?」


「……まったく、キミは頭がキレすぎて、ホント困るねェ。それも…、今は僕の補佐役の筈なのに呼び捨てだし――」

彩祢の言葉に、章人は驚いたように振り返り、そして苦笑いする。

「…今行けば…絶対に殺されるわ。」
「うん。わかってる。」

彩祢は大分凄んで言ったつもりだったが、あっさりときた章人からの返答に、一瞬どきりとする。そして悟った。

「ッッ――……奥様に、言いたいことは?」

彩祢は複雑な心持ちで言った。

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