家に着くとドアホンを鳴らす…数秒後にドアが開いた。
「お帰りぃ、早かったね?デート中止になったの?」
「ただいま…そうじゃないんだけど…」
私には5歳年下の妹が居る。名前は『茜』って言う。3人兄弟で、茜は末っ子。真ん中は男で、私の二歳下。名前は『誠』。弟は、結婚を前提に付き合っている彼女と同棲中…凄く仲が良くて、弟は彼女を大切にしているのが手に取る様に判る。
「お姉ちゃん、何かあった?」
茜が心配そうに聞いてきた。私は数回横に首を振って、心配させない様に作り笑顔で答えた。
数秒後、妹は真顔で私に問い詰める事を言った。
「お姉ちゃん、嘘吐いてる。判るよ、だってお姉ちゃん泣いているもん。お兄ちゃんが何かしたの?喧嘩したの?」
妹は涼の事をお兄ちゃんって呼んでいて、彼が家に来ると一番喜んでいた。
「違うよ…喧嘩なんてしていないから…」
「嘘!お姉ちゃん何があったの!話して!」
妹が私に食い下がってくる…妹の言葉が私の心を揺さぶり、抑えていた感情が溢れ出た。妹の前で泣いてしまった…溢れる涙は止まらない…妹は私を抱きしめて、優しく包んでくれた。
泣いて、少し落ち着いた事で今日の出来事を話した。妹は黙って、私の話を聞いている…そして。
「お姉ちゃん、その田中って人ってさ。僕は信じられない。だって、そうでしょ?何でお姉ちゃんを傷付ける事を言うわけ?」
「それは…私の事を思って…だから…」
それ以上、何も言えなかった。
「お姉ちゃん、その写真見せてよ。僕が確かめるから。暫くその写真預かっていいでしょ?」
妹は言い出すと、言う事を聞かない。写真を妹に渡す事にした。妹は涼の親友の田中さんが嫌いだった。理由は教えてくれないけど、凄く彼を嫌っている。でも…その理由はずっと後になって私も知る様になった。