暮れに父の実家を訪れると いつも雪が降った
私が初めて見た雪
冷たい羽毛のように舞いおりてくる
ひらひら ひらひら 予測もつかないリズムで
なんてきれいなんだろう
私は飽きず 見上げつづけた
芯から冷え切っても まだ見上げていた
祖母や叔父は亡くなり 私は大人になり
遠のいてしまった街
でも 冬になると今でも胸によみがえる
凛と 白い世界
何にもたとえられない 一瞬の連続
寒さの中に 降りつもる静寂
空から地上までの 雪たちの旅