ギュ…
今…抱きしめられてる?
抱きしめられてる!!!
ど〜しよ!!?
抱きしめ返せばいいの?!
ギュ…
何も考えられない。
ただ時間が過ぎてる。
1・2分くらい…?
胸が高鳴り過ぎて
もう我慢出来なくなって
ちょっと
突き放すように離れた。
「せ先輩…?」
「ご…ごめん突然(照)」
「い、いえ(照)」
あたしと先輩は
二人顔を真っ赤にして
うつむいた。
ああそうだった。
あたしと同じ様に
この人もこんな経験…
なかったんだ。
勇気いたんだろうな。
突き放さなければ
よかった。
でも後悔してももう遅い。少し沈黙が流れて…
先輩は帰ってった。
「またね」そう言って。
「ただいま〜」
パタン…
部屋に入って携帯を開く。
[メール:1]
友信からだ。
何だか胸が痛む。
なんなんだよ。
何でだよ?
部活で泣いちゃったから?
先輩と仲よくしてたから?別に関係ないじゃん…
何でこんなにも
罪悪感が溢れるんだろう?
「今日はどした?」
…ごまかしとこ。
「何でも〜?」
すぐに返信が来た。
「お前悩みあんのか?
相談なら乗るからな?
遠慮すんな!」
何でそんな優しいの…?
女の子には皆そうなの?
あたしはずっと
菊地先輩が好きだった。
今もそう。
そうなんだけど…
友信のこと考えてる。
どうして…?
あたしの気持ちは
そんな軽いものだった?
………こんな自分が
大っ嫌いだ。
今思えばあたし…
昔から面食いだった。
格好いい人に
優しくされればすぐに
いいなって感じてた。
……嫌い。嫌い。
※11話へ続く