駅に電車が到着した。
この電車が僕とあの人を結ぶ糸になるとは、夢にも思わなかった。
「ご乗車ありがとうございます。この電車は、N行きの電車です。次は、A駅です」
僕は窓際の席に座れた。隣の男は、新聞を読んでいた。しばらく、電車に揺らされていると、眠たくなってくる。なんでだろうと思いながら、そのまま、僕は眠ってしまった。
あまりの寒さで目が覚めた。どれくらい寝ていたのだろうか。新聞の男はどこかに行き、代わりに綺麗な女の人が座っていた。
外を見ると、見慣れた景色があった。降りるべき駅だった。急いで、準備をしたのだが、結局降りられなかった。僕の目の前で、扉はしまった。
肩を落として、座っていた席に戻った。隣の女の人は、くすっ、と笑った。僕も情けない顔で笑った。すると女の人は僕に話し掛けて来た。
「よくありますよね、こういうの。私も、高校生ぐらいの時には寝過ごしました。扉が目の前で閉まったら、思わずため息がでてしまったものです」
女の人の声は、綺麗な声だった。冬が似合いそうな人だと、素直に思った。僕は返事をした。
「そうですよね。次の駅で降りますよ。あの、あたはどこまで行くんですか?」
そう言ったとき、がくっと来た。続