「ああ、どうも。爺さんテレビをつけてくれ」
「わかったよ」
ぷつっ…ざざっ
ノイズが走りテレビがつく。
『…ースです。
昨晩殺された…』
「爺さん、この事件を知ってるかい?」
「知っているが、なにか?」
「なあ?この犯人はなにで殺したと思う?どんな奴だと思う?私にはさっぱりだ…」
「そんなもんは、儂にもわからんよ」
「悪かったな、変な事訊いて…」
「なに、気にしてないさ」
「こんな奴をどうやって捕まえるんだよ…」
「そのうち捕まるだろう(無理だがな)」
「そうだな」
ふつうに会話をしているが、犯人はウィスと俺(今は私)なんだよなあ。
夜になり…
店を閉めて、前に建っている店に入り、今度はこの店を開ける。ここは酒場で訳有りな客が多く来る。
開店時間は4時間位だが、昼の喫茶店よりは客が多い。
私(俺)はいつも、客としてこの店に入っている。
「こんばんは。マスター、あんたに会いたいって言う奴がいるんだが」
「ああ、誰だ?」
「おいこっちだ」
近付いてきたのは、スーツをビシッと着こなした男だった。
「こんばんは。“地獄の業火”をお願いしたいのですが…」
その合い言葉に私(俺)は店を出て、緑の家に入り20代位の男性に姿を変え、服を着替えて酒場に戻る。
「いらっしゃい。待っていたよ、依頼だ」
俺は頷きお辞儀をする。
「はじめまして。私は獄炎です。お話はこちらで」
そう言って、奥の部屋に案内する。
部屋に入ると
「では、貴方のお名前と標的を教えて下さい」
「私は尾田 原(おだ はら)で、相手はケビン・ソーロー、科学者です。お願いします」
「わかりました。では、報酬は報道で死亡を確認したら、ここに持って来て下さい」
「はい」
「それと、来ない場合は……わかっていますね?」
「は、はい…」
「また、後日」
依頼主が出て行くと『はぁ〜』と息を吐き、呟く。
「疲れた…眠い…」
扉が開き、ウィスが顔を出す。
「おい、閉店だ。むこうに帰るぞ」
「今日は疲れたから、仕事は明日からでいいよな?」
「全く…まあ、いいじゃろ」
〜続く〜