「私は、自分の娘を部屋に閉じこめ監禁していました」
殺したいほど憎んでいた母が、公衆の面前で事実を話した。その瞬間の母の姿は、もの凄く寂しく見えて、アタシは目を逸らした。
アタシは12年間、小さな部屋の中にいた。言葉なんて分からなかった。何で毎日殴られたり、蹴られたりされるのか分からなかった。
でも、外の世界に出て、言葉を覚えてゆくたんびにアタシは分かったことがある。
あの頃のアタシは、ただ、
愛されたかっただけなんだ。
部屋から出たときのアタシの体はガリガリだった。とても15歳とは思えない程の悲惨な体。そして、目の前に広がる見たこともない世界。
人間といえるものが怖いと感じた。アタシを変な目で見てくるもの全てが怖かった。