「俺が……生きるため?おい、それはどういう意味だ?」
俺は叱るような強い口調でフロンに尋ねた。
「……いずれはお話しなければならないことですから……お話しますね」
そこで一旦言葉を切り、俺に背を向けて再び言葉を紡ぎだした。
「一馬さんの体は今、病気に冒されています」
「び、病気?い、一体何の病気にかかってるんだよ?」
「イコラ病。そう呼ばれる裏にしか存在しない病気です」
それからフロンはその病気の詳しい説明をしてくれた。
曰く、イコラ病という病は、大変ウィルスの潜伏期間が長く、そして、潜伏期間を終えると、前触れもなく感染者を死に至らしめる恐ろしい病気。なのだそうだ。
「その病気のことは分かったがそれと俺がこの世界に来たこととどう繋がるんだよ?」
俺のその問いにフロンは「そこが重要なんです」と言いこう付け加えた。
「問題はイコラ病の治療方法なんです。イコラ病自体は100%の治療効果が保障されている薬が有るんです」
「何だ。それならその薬を俺が飲むなりしちまえば……」
「最後まで聞いてください!!」
俺が口を挟もうとするとフロンに怒られてしまった。
「この薬はジパングのある場所にしか存在せず、しかもそこから持ち出すことが出来ないんです」