ー「先輩、なにいってるんですか?埋葬機関?吸血鬼?そんなバカな?」
ー「いえ、これは事実です。英君、今この町の死体にはほとんどと言っていいほど、体から血が抜かれて死んでいます。やはりこの町にまた吸血鬼が来たと言うことでしょう。」
先輩は淡々とそう話しながら、さっきの人を黒鍵で刺し殺した。俺は近づいて口の中を見た。確かにこの人の前歯に牙があった。やはり吸血鬼であった。俺は詩恵瑠先輩と一緒にあたりを警戒しながら、家に帰った。
ー「先輩、夕食買ってきたっていうか、スーパーから持ってきたんですけど…食べます?」
ー「えぇー?ほんと!?ありがとう、てか私がカレー好きなの知ってたんだぁ!」
…よかった。感は外れてなかった。
俺は胸をなで下ろした。俺と先輩は夕食の準備を進めながら、埋葬機関のことを聞いた。
ー「先輩、埋葬機関というのは何なんですか?」
ー「あんまり企業秘密だから、詳しくは言えないんだけど、本来は埋葬機関と言うのだけれど、私たちは教会って呼んでるわ。簡単に言えば化け物退治屋さんかな?」
ー「そんな化け物なんているんですか?」
ー「だって、さっき実際に見たでしょ?吸血鬼。ああゆうのを殺して町を守る仕事をするのよ。」
へぇ〜などと感心している間に、夕食のカレーは出来た。さすがは女の子、料理はお手の物らしい。先輩のカレーは絶品だった。カレーを食卓で食べながら、これからどうするか、聞いた。
ー「とにかく、この町に吸血鬼が再び出現した以上、私は仕事しなければ、教会から罰を受けてしまいます。なので、英君は私のサポートをしていただけませんか?」
ー「サポート…ですか?でもサポートって言っても何したらいいか…」
ー「大丈夫です。あなたの命は私が保証します。ですから、あなたは私を一人にしないでください。お願いです、私はもう一人は嫌なんです!」
先輩は泣いていた。俺は先輩がどんな過去を持っているかなんて知らなかった。先輩は俺の胸にだきついた。俺は優しくその華奢な体を抱きしめた。
ー「分かりました。どこまでも先輩と一緒にいます。絶対に離れません。」
先輩はありがとうと小さく呟いた。
しばらくして、またこの日も眠りについた。明日から始まる吸血鬼狩り。不安と恐怖を思いながら時は流れてゆく。