第6ディメット暦187年14月04日
〜均衡を保つ街 サリュトス デクロス側〜
「さ、『次回』がやって参りましたな。」
「だからなんだよ『次回』って。」
「あまり気になさらずに。
さて、八象術についてご説明いたす。」
「はい……。」
「『八象』とは『八卦』のそれぞれが象徴するものでござる、『八』の字がついている通り、八つの象徴が存在しておるのでござる。
乾(ケン)は天、
坤(コン)は地、
土欠※(カン)は水、
離(リ)は火、
艮(ゴン)は山、
兌(ダ)は沢、
巽(ソン)は風、
震(シン)は雷をそれぞれ意味するのでござる。」
「途中の『※』は何なんだ?」
「後に作者からお話があるそうでござる。
それはともかく、この八種の象徴の内、人が扱えるのは一種類のみでござる。」
「それって……先天的な物?」
「いかにも、ちなみに、夜叉も人と同じで一人一つしか象徴は扱えませぬ。
さてリオン殿、利き手……すなわち右手を出してくだされ。」
「あ、あぁ。」
「ふむふむ……なるほど、ほうほう…………………………………………………………………………………………………………どうやら、リオン殿は『震』の象徴を持っている様でござるな。」
「震って言ったら………雷だよな。」
「いかにも。……………………………………………………………よし、しばらく此処に逗留いたそう。」
「へ?」
「リオン殿が八象術を会得するまで、それがしが昨日からお話するといっていた事も言わぬ。」
「な、何でだよ!!」
「何か技を覚えたいと言ったのは誰でござったかのぅ。」
「ぐ………………。で、でもレイラとかリンとかエルクの説得はどうすんだよ!」
「ふふふ、頼みましたぞ、リオン殿。」
「だから何でなんだよ!!」
「まず、言い出しっぺが実行する。それが、世界の理でござる。」
「訳がわかんねぇーよーーーーーーーー!!!」
第17話『世界の理』完
【武術事典】
【名:八象術】
【種類:対極術】
【備考:自身の先天的な気(乾、坤、土欠※、離、艮、兌、巽、震のいずれか一つ)を体外から取り込み、それを利用して相手を攻撃する術。一人一つの象徴しか扱えないので現在では夜叉の間にのみ伝わっていると言う。】
※……該当する漢字が無かったので2文字を組み合わせて表示しました。