ナイト・オン・ドラグーン【37】話

Milk  2006-12-30投稿
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焔の町の夜は賑やかな昼と違い、静まり返っていた。
時折、建物の間を縫って吹いてくる風の音が焔の町を響き渡らせた。

リオの家で晩を過ごしたアインとマナは空き部屋を借り、一時の休息をとった。
今後の事をマナと相談しようと彼女の部屋をノックしたが、返事がなかった。
激戦の繰り返しだったからか、疲れきって寝てるとアインは思った。

音を立てないようにリオの家を出て、アインは夜の町を歩いた。
明日には【獄炎の塔】に関する情報を手に入れねばならない、町のどこになにがあるのか。知っといても悪くないと思ったからだ。
しかし、活気ある焔の町といえど、夜の町はなにがおこるかわからない。
アインは念のために剣を所持してきた。

昼間は人が多い、大通りも今では静寂が漂っている。
(そういえば、レグナは…)
ふと、思い、アインは夜空を見上げた。
空は雲一つなく、無数の星達が輝きを放っていた。
そのはるか上空に巨大な影が旋回しているのに気付いた。
紛れも無くレグナだった。
「あんな所にいたのか…」

町のはずれになにもない場所があると、リオから聞いた。
アインそこでレグナと落ち合う為、まずはその場所に向かった。

「なかなか退屈であったぞ小僧。」
すでに降下し終えたレグナは苦笑しながら翼を畳んだ。
空にある月の光を浴び、レグナの青濃色の鱗が煌めいた。
「ああ、悪かったよレグナ。」
アインも苦笑いしながら、レグナの鼻の辺りをさすった。
「して、何か情報は得たのか?」

「いやっ…塔に繋がる情報はまだ何も」

そうか。とレグナ。

アインは摩る手を止めた。

「どうした?小僧。元気のない顔をして」

アインの様子を感づいたレグナが意味深気に聞いた。

「…騎士団を抜け出してもう一週間近く経ったんだな、と思ってさ」

この一週間は短くも長くもアインは感じた。
騎士団を逃亡し、マナと出会い、騎士団の弾圧によって苦しめられている人々を見た。
そして、人々を永遠の呪縛から解放するため、世界崩壊を防ぐ、五つの封印の塔の一角を落とした。
「もう…何もかも、後戻りはできないんだな。」
レグナはアインの言葉をひたすら静かに聞いた。
レグナが口を開きかけたと同時に後方で爆発音が鳴り響いた。

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