仕方なく、タバコを吸おうとポケットに手を入れた時、何かが指先に触れた。
浅岡のハンカチだ!
「そうか、これ返さないと…。」
久しぶりの一人の部屋は、なんとなく心細かったが、 浅岡の笑顔と言葉に救われた。
不思議な子だ。
そして、ハンカチを眺めていて、ふと思った。
これ、どうやって返せばいいんだ?
まさか、他の生徒の前で返す訳には…。
でも、このまま返さないのも…。
僕の思考は完全にハンカチの返し方に向いた。
シャワーを浴びながら、洗濯しながら、ずっと考えてみたが、どうすればいいのかさっぱりわからない。
缶ビールを開ける。
まだ、答えは出ていなかったが、僕の体はもう、睡眠を欲しているらしい。
今日は、このまま寝ることにしよう。と、ベッドへ向かった。