夜10時。敬が住んでいる孤児院では院長が警察に電話をしていた。
「帰って来ないんですよ。いや、だから何回も言っているでしょう!!夜遊びする様な子じゃないって。それに一ヶ月前に兄も行方不明のままなんですよ。・・・」
夜11時。
勇は自分の部屋で受験勉強をしていた。不良と呼ばれる勇も流石に中3の3学期なので勉強している。(遅過ぎだろ。)
ピンポーン
一階からインターホンの音が聞こえる。
『もう11時だぞ。こんな時間に誰だ!?』
ガチャ
玄関の開く音。
ここまではまだ普通だが・・・
ブウゥゥゥン・・・ グシャアャャ!!!
普通で無い音が鬼神家に響く。
『何だ!?今の音。』
勇は自分の部屋を飛び出し階段を下り玄関に向かうと。そこには勇の母親の死体と返り血を浴びて電動ノコギリを構えている敬の姿があった。 「え・・・あ・・ワァアァァァ!!!」
勇は絶叫した。そしてリビングへと逃げ込んだ。
「待てぇぇ殺してやる殺してやる殺してやるぅぅぅ!!」
『嘘だ嘘だ嘘だ!!殺される・・・』
勇は逃げたが慌てていた為に段差で転んでしまった。
「やめろ!!やめてくれ!!」
「死ね死ね死ね!!」
最早敬は怒りで聞く耳を持たない。
ズシャァ!!!
電動ノコギリが勇の腹に刺し込まれていく。
「ぎゃあぁァぁァァ!!」
激痛が身体を貫きこの世の物とは思え無い叫びが響き渡る。
ズシャアァァァァ
叫び声が無くなった後、敬は刃を自分へと向けた。
ズシャアァァァァァァァァァ!!!!
そこに在る者は血の海と内臓と血塗れの凶器、そして2人の死体だけだった。