ある国のある街に住む少年の物語。少年の名前はレイ。レイには最近気になっている女の子がいる。その子は街の宿屋でいつも働いていた。 友達にその子のことを話すと「あの子はやめとけ」と決まって同じようなことを言われた。 その言葉の意味を理解するのにそう時間はかからなかった。 少女はいつも体にアザが絶えなかった。殴られたような痕や鞭で打たれたような痕が痛々しい。 少女は宿屋の主人から犬のような扱いを受けていた。いや、主人からすればその少女は犬以下の存在だった。 少女は宿屋の主人から『奴隷』として飼われていた。 ある日の夕方その少女は宿屋の前で主人に怒鳴られていた。 「おい犬！あんな簡単な仕事もできねぇのか!?役立たずが！ぶっ殺すぞ！」 主人はそう言って少女を踏みつけた。 少女は小さなうめき声をあげるだけで抵抗することさえできないでいた。 レイはそれを見て無意識に足が動いていた。 少女を踏みつけている宿屋の主人を力いっぱい突き飛ばし少女に手を差し伸べた。 「逃げよう！」 それだけ言うと少女の腕を掴み走り出した。 後ろから主人が叫び声を上げていたがすでにレイには何も聞こえていなかった。 ただ無我夢中で街の中を走り続け港までくると出航しかけていた船に飛び乗った。 それからレイの物語が始まった。
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