君に送る言葉?

深山暁  2007-01-02投稿
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そんな事を考えていると、腹が鳴った。
「あぁ、昨日夕飯抜いたんだった。」
これでは、本当に倒れてしまう。
慣れないながらも、トーストとコーヒー、おまけに目玉焼きも作ってみた。
「やればできるもんだな。」
思ったよりしっかりとした朝食を作れて、ちょっと誇らしかった。
朝食を食べ終わり、歯を磨いていると、乾燥機の中の 浅岡のハンカチを見つけた。
「あっ!」
ハブラシを落としそうになる。
昨日の夜、洗っておいたんだった…。
…アイロン…かけるべき…だよな。
アイロンがけは、朝食作りよりも大変だった。
ゆっくり、丁寧に伸ばしていく。
そのあと、きれいにたたんで鞄に入れた。
まだ、いい返し方は浮かんでいなかったが、持っていくだけはしよう。と、思った。


―2時間目。
次は、浅岡のクラスだ。
ハンカチはまだ鞄の中にある。
持って行こうか迷ったが、結局やめた。
僕は、妙に緊張して教室に入った。
いつものように、授業が始まった。
いつものように、ノートをとらせる。
ふと浅岡の方に目がいった。
きれいな姿勢でノートをとっている。
…昨日、泣き顔見られたんだよな。
今さら恥ずかしくなってきた。
その時、ちょうど浅岡が顔をあげた。
目が合う。
どうしよう。
顔が熱くなるのが分かる。
僕が、ぎこちなく目を逸らそうとした時、浅岡がにっこり笑った。
(よかった。)
浅岡の唇が、そう動いた気がした。



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